京都大学・大阪大学・神戸大学経済学部 不合格体験記 後編
こんにちは!
先日2021年度 名古屋大学情報学部自然情報学科の編入学試験に合格した鳥貴士です!
自分は昨年京都大学・大阪大学・神戸大学の経済学部編入試験を受験し、全落ちしました。
大阪大学は筆記試験は通りましたが、面接試験で落ちました。
そこで編入浪人をすることを決意し、大学の勉強やインターンをやりつつ、完全に独学で名古屋大学に合格しました。
今回の記事は前回の
こちらの記事に続いて後編になります。
続編は大学別・教科別の特徴・対策と開示です。
というわけで早速。
面接については別記事に書くので気になる方はそちらへどうぞ。
目次
- 編入を志望した経緯と時期(前編)
- 当初の戦略
- 用いた参考書・問題集と勉強法(共通)
- 英語
- TOEIC
- TOEFL
- ミクロ経済学
- マクロ経済学
- 英語
- 実際のスケジュール
- 神戸大学経済学部対策
- 概要
- TOEIC
- 経済学
- 経済数学
- 大阪大学経済学部対策
- 概要
- 英語
- ミクロ経済学
- マクロ経済学
- 経済史
- 統計学
- 京都大学経済学部対策
- 概要
- TOEFL iBT
- ミクロ経済学
- マクロ経済学
- 受験体験記・講評(未執筆)
- 得点開示
神戸大学経済学部対策
概要
京大阪大志望の前哨戦にして滑り止め。俺は滑り落ちました。
ホームページにある3年分の過去問だけでは年数が少なすぎるのでありったけ仕入れましょう。
神戸大学の特徴は問題が容易なので、採点が非常に厳しい点です。
ちょっとミスれば容赦なく減点されます。
またここは、志望理由書を課してくる大学の一つです。
志望理由書の扱いについてはかなり不透明です。
今年も合否判定の基準について曖昧な書き方をしていますね。
それでは以前の採点基準を見てみましょう。
平成30年の募集要項です。
これによると、TOEIC・経済・経済数学はそれぞれ100点、志望理由書は45点換算です。
仮に内部で依然としてこの配点を用いるとしているならば、今年は英語がなくなることから
志望理由書が合否に占める割合は、45/345から45/245に上がります。
この仮説が正しいなら、2020年は志望理由書にも手が抜けない年になりますね。
ということで本記事を宣伝しておきます。
TOEIC
神戸大学出願にあたって2020年はTOEICは不要みたいですね。
まぁせっかくなので書いておきます。
2021年以降の人の参考になれば。
合格者の特典分布は幅広く、下は600後半から上は900台までいます。
俺は775で出しましたが、落ちた理由は英語ではなく筆記の出来です。南無。
ただ、TOEICが高ければ多少筆記で失敗しても耐えます。
2019年の合格最低点は212点, 最高点が254点(満点は300点)です。
そこでTOEICで900点を取った場合90点を”確実に”確保することができます。
それによって、経済と数学がそれぞれ6割程度でも合格ラインに達します。
TOEFLに比べてTOEICは安いですし、TOEICはギリギリまで上げましょう。
試験時間外で確定的に決まる要素は、適切に時間とお金をかければ上がります。
努力できる環境を作り出すもっとも簡単な手段はお金です。マネーイズパワー(再掲)。
経済学
ひどい落ち方をしたので偉そうなことは書けないのですが、先ほども言ったように問題が平易な分採点が厳しいです。
迂闊なことは書いてはいけません。
大学入試の英作文とかTOEFLの英文みたいなもので、正確だと完全に理解しているものだけ書き、減点されない答案を作りましょう。
経済数学
これも人に高説垂れるほど良い出来ではないのでコメントは控えたいのですけどね…。
カスかった理由は冒頭で述べた通りです。
まぁ自分のやった対策を書いておきます。
授業
解析も線形も大学での授業を一通りきちんとやりました。
いや、線形代数はマトモにやってないですごめんなさい。
解析は教養数学のうち前期のものと後期のものがありました。
おそらくどこの大学もそんな感じではないでしょうか。
前期の解析はただの数3だったので取りませんでした。
俺は新しいことを学びたいんだ(キリッ)とかやってないでGPAのために取るべきでした。
後期の解析は取りました。
全微分・偏微分からラグランジュの未定乗数法までカバーしてくれたので、経済数学対策は授業でカバーできます。
線形代数は一限だったので結構サボってました。
とはいえ前期は行基本変形まで、後期は余因子展開あたりまでしかやっていなかったので、どのみち追加的な学習は必要でした。
いずれにせよ授業をサボってよい理由にはなりませんね。
経済数学 サピエンティア
神です。経済編入対策はこれやっておけばOKです。
ただ1冊目でこれはしんどいかも。
授業で勉強したところを経済数学対策向けに補完するような使い方が良い感じですね。
神大合格者のmiraさんもイチ押しの一冊
【質問箱定期】
答えやすいやつだけ答えると、サピエンティアはマジで全部理解しといた方がいい。一言一句同じ問題何回も出されてるんだから当然。あと質問箱で触れてる人もいるけど、編入は元々イレギュラーだから、リスクヘッジはしないとダメって言ってるやん!神戸1本は最初からリスキー! pic.twitter.com/eBT51pczjM
— Mira@大学編入 経済編入 (@mira_salon_) June 22, 2020
ただ演習量が少々物足りないので、神戸大学の過去問をありったけ取り寄せて解くとよいです。
神戸対策なら2次形式と確率論は不要です。
大阪大学経済学部対策
概要
大阪大学は他の編入を大学やっている大学に比べて科目数が一番多いです。
しかしその分受験生から敬遠されがちでもあるので、きちんと基本を対策すれば筆記試験は普通に通ります。
自分の対策がいかにヌルかったか、後の個別科目対策を見るとわかると思います。
現に自分はろくすっぽ対策をしていませんでしたが一次試験には通っていました。
そのため他の落ちた大学に比べると、多少は説得力があるかもしれません。
1次に通ったのは、個人的にはミクロ・マクロ・英語でぶん殴った結果だと思っています。
過去問は7年分解きました。
思えば過去問を解いた年数が多ければ多いほど成績が良いですね。
どこの大学の過去問もありったけ集めるのが合格への最短距離だと思います。
阪大は面接がありますので、こちらの記事を置いておきます。
英語
英語対策は特に何もしませんでした。
一般受験で英語使ってTOEFL85あって留学行ってるならまぁ余裕です。
出題される問題は2種類しかありません。
それは
- ~について説明しなさい
- ~を和訳しなさい
ほんとにこれだけです。これ以外出ません。
出題される長文は経済学に関係するアホみたいに長い長文です。
2020年度入試では5Pに渡る超長文でした。
日ごろから英文を読んでいて、経済学の考え方に馴染みがあれば無対策でも勝てます。
理想的なのは英文を英文のまま読みこなし、任意の箇所を日本語で説明できる状態です。
もし英語の記述問題について自信があまりないということであれば、難関大学受験対策本が役に立つと思います。
阪大で問われる能力は超長文の内容理解です。
そのため長文対策本と英文解釈の能力を引き上げることが合格に直結します。
まず長文対策で自分が大学入試の際に使っていて、阪大対策で役に立ちそうなものは
やっておきたい英語長文1000 (河合塾シリーズ)
こちらは超長文に対応する力を引き上げる長文に特化した問題集です。
純粋な難易度ではやっておきたい700とそう大差ないのですが、超長文に対応するという意味合いでこちらをおすすめします。
阪大対策であれば、和訳と内容説明だけやれば十分だと思います。
ただやっておきたい1000だけでは経済学で使う英語には対応しきれません。
これをやった後はWSJを始めとした海外の経済系の記事を読み、経済用語について日本語と英語を一対一対応させましょう。
続いて英文解釈について。自分が大学入試を受ける際に使っていたものは、レベル順で
入門英文解釈の技術70 (大学受験スーパーゼミ徹底攻略)
ポレポレ英文読解プロセス50?代々木ゼミ方式
です。
ポレポレは教え子とポレポレしてしまった先生が書いていますが中身は良いです。
いずれも和訳のめんどくさそうな文を和訳していく本ですが、これをやることで和訳問題への対応力がつきます。
加えて多少複雑な文でも脳への負荷をそこまでかけずに理解することができるようになるので、説明問題の回答を構想する力がつきます。
ミクロ経済学
阪大のミクロは難易度が年によって大きくぶれます。
自分の受験した2020年度はかなり難しかったです。
経済編入の難関大学の特徴として、ある条件を付与した場合の影響を説明する問題がよく出ます。
理論をきちんと理解して他人に説明できるレベルで理解すると、この手の問題も解けるようになります。
こうした問題が解けることは他人と差をつけることにつながります。
阪大は出題範囲が京大と同様に幅広いので、どの分野も手は抜けないです。
ただ2期間や2財についての最適な消費行動をはじめとした典型問題も出題されるので、こうした基本的な問題で差を付けられないようにしましょう。
また対策をやっていた中で、基本的な問題の中でも交換経済は出題された場合に差が付きやすいと思いました。
マクロ経済学
阪大のマクロの特徴は
- ワードを埋める語句問題・ラスパイレス, パーシェ指数の計算・ソローモデルが頻出
- 他は大体マクロ経済学の基礎的な問題
この2点です。
語句問題は去年も出ました。
経常収支・資本移転収支などといった、経済関連指標の細かいところまで聞いてくるのでここはがっちり暗記しておきましょう。
ラスパイレス・パーシェ指数の計算も良く出ています。
指数は典型問題なので絶対落とせません。
ソローモデルは京大みたいに説明を書かせたりする問題の出題率は低いです。
黄金律まわりの話がわかっていれば大丈夫です。
正直京大受かる人はミクロ・マクロに関して阪大は余裕だと思います。
経済史
経済史は阪大特有の科目ですね。
科目の厳つさのわりに対策に要する時間はあまり多くないので、京大・神戸大と併願しても行けます。
また阪大に合格したいならこの科目はガチりましょう。
京大を受ける層は阪大を併願していたりします。
英語・ミクロ・マクロは京大志望とそこまで大きな差はつきませんが、京大併願勢は割と経済史に関して手薄です。
なぜそう言えるかというと自分がそうで、その上1次に通っているからです。
そのため経済史はガチると他のクソザコ受験生に大きな差をつけることができます。
コスパの良い科目だと思っておきましょう。
勉強法は過去問の答えを自分で作って暗記するだけです。
一方、日本経済史に限って言えば本を読んで習得するのはコスパ悪いです。
ひどい年(平成30年, 27年)だと日本経済史が一切出ないこともあります。
日本経済史については、過去問を見て答えを作って覚えるだけでいいです。
本が必要ならその時に図書館から借りるなり買うなりすればよいと思います。
それでダメなものは予備知識で書くなり捨てるなりしてください。
他の受験生もできません。
阪大が第1志望だったり、ガチで受かりたい人は日本経済史をやってもよいと思います。
自分は昨年の配点25点の記述問題をカスみたいな予備知識だけで埋めましたが耐えました。
授業
大学の経済史の授業は結構頑張って、クソつまらない授業を4単位分毎回ちゃんと出席していました。
しかし記憶には全く残らなかったので授業時間全部、次で紹介する西洋経済史読んでて良いと思います。
西洋経済史 (有斐閣アルマ)
阪大経済史対策のド定番教科書。
これを一通り読んで過去問対策をきちんと行えば経済史は最高点が取れるでしょう。
なぜならそれ以外に対策法がなく、また自分のように碌に対策していない人もそれなりにいるからです。
対策の力加減としては西洋経済史3割過去問7割という感じです。
範囲がかなり広いのではないか?という第一印象ですが、中身は過去問の使いまわしのオンパレードです。
そのため典型問題の解答を一夜漬けで一気に詰め込むこともできなくはないです。
自分は一夜漬けでしたが全くおすすめしません。
こんなのでもいけるので、きちんと対策すれば余裕です。
定期テストをもらうといったチート技はコメントを控えさせてもらいます。
統計学
一番対策に手こずる科目です。
阪大の統計学は計量経済学やファイナンスとのつながりを意識した出題のされ方をします。
そのためか阪大の統計学はかなり難しいので、対策時間に対する期待得点という観点で言えば会計学の方をおすすめします。
自分も得点率で言えば0点に近いので、対策に使える本だけ挙げておきます。
過去問やっただけじゃまじで点とれないです。
授業
レベルが低かったので役に立ちませんでした。
文系の統計学の授業はせいぜい回帰分析までしかやってくれません。
統計学15講 (ライブラリ経済学15講BASIC編)
基本的な統計学について幅広い範囲をカバーしています。
分散分析について触れている点がうれしいです。
試験3日前に購入し、友人宅で延々と読んでいました。アホですね。
普通に解けるようにならなかったので問題はきちんと解きましょう。
統計学入門 (基礎統計学1)
これを一通り理解すれば定義・計算・説明問題の大半は解けるようになります。
内容はかなり重く、自分はほとんど手を付けられていません。
しかし分散分析といったトピックは抑えていないので、それをカバーする上で統計学15講は有用です。
京都大学経済学部対策
概要
経済編入の最高峰にして自分がもっとも重点的に対策した大学です。
落ちましたが。
京大対策は阪大ミクロ・マクロ対策の役に立ちます。
定員が20人のクセに毎年5人しか合格を出さない大学です。
いっそ定員5人って書いた方がいいのでは。
過去問は7年か8年ぐらい解きました。
3周してどの問題も試験で出たら解けるぞ!というレベルまで引き上げましたが、詰めが甘かったみたいです。
落とした理由は明白で、
- 合理的期待形成仮説の問題がわからなかったこと
- ソローモデルの調整過程の問題がわからなかったこと
- ソローモデルの計算ミスの可能性
この3つです。
逆に言えばこの点をきちんと押さえていれば受かっていました。
まぁ落ちてるんでどうとでも言えるんですけどね。
TOEFLとミクロ経済学に関しては、合格者と大きな差はついていないと思います。
まぁこの年のボーダーが8割なのでいずれも足りていないのですが。
得点の見込みについても自分の予想とそう大きく外れていないので、落ちるべくして落ちたんだなあという感じです。
この程度の対策では受かりませんよ、というとこだけ参考にしてください。
2020年度の入試はコロナ対策を意識して試験科目を一気に変えてきましたね。
見たところでは海外の編入・大学院入試みたいな感じという印象です。
もしそうであればSoP(Statement of Purpose 志望理由書)・推薦書>今いる大学の成績>各種スコアという順番で重要です。
海外の入学試験では各種スコアは足切り程度にしか使われません。
もっとも重要な書類は志望理由書と教授からの推薦状です。
2通であれば、自分を長いこと知っているお世話になった教授と、権威ある教授に書いてもらうことが一般的です。
海外のPhD応募について言えば、強力な推薦状が得られれば、それだけで合否が決まるぐらいウェイトが大きいです。
志望理由書が重要になるパターンは修士課程のみの場合です。
名門校の修士課程の場合は、推薦状や研究能力というよりも志望理由書の方がよくみられます。
困ったらどちらも最高のものを用意しましょう。
というわけで宣伝(2回目)
TOEFL iBT
前編の参考書紹介のところで話したので対策に関して特に言うことはないです。
TOEFLはミクロ・マクロの配点の3分の1程度なので、ある程度の点数を取ったらミクロ・マクロの対策をする方が時間対効果は良いです。
2020年はやたらTOEFLつよつよな受験生が多いですね。
それと定員5人仮説を鑑みると、合格するために84点(7割)は最低でも欲しいですね。
自分は留学という環境とTOEFLの点数を金で買いましたが、このくらいなら頑張れば純ジャパでも学部2年までに到達できると思います。
京大に関して、以前はTOEFLが70点台でも受かったのでしょうが、近年編入学試験の認知度上昇に伴って受験者のレベルも急激に上がっています。
京大の3年次編入が簡単といわれた時代はもう終わったと見た方がよいでしょう。
ミクロ経済学
京大のミクロは一部のトリッキーな問題を除けば典型問題ばかりで構成されています。
定期テストや演習問題をきちんと解いていれば、手も足もでないということはないと思います。
いま1年生の人は定期テストの後にでも京大の過去問を見てみてください。
意外といけそうという感想を抱くと思います。
ミクロに関しては教科書を人に説明できるぐらい理解し、過去問をきちんと解けるようにするだけで合格者の水準まで到達できます。
昨年の入試ではホモ・エコノミカスの論述が出ましたが、これは過去問とまったく同じ問題です。
大学としても、過去問ぐらいはきちんとやってくれという思いがあるのでしょう。
まぁもしそれを言うなら過去問も公開して欲しいですがね。
マクロ経済学
京大のマクロは典型問題を解けるのは当然として、その背景にある理論を説明させる問題が多いです。
この説明問題の難易度が他の大学と比べてもっとも高いです。
それに加えて京大特有の問題がソローモデルの応用問題です。
そして特に京大受験で合否を分ける問題が、時間変化を問う問題です。
というかソローモデルの問題が完璧に解けるかどうかが合否の分かれ目です。
実際のところ個人でここのマクロ対策を十分に行うのは難しいので、この科目のためだけに予備校を頼るのはアリかなと思っています。
ことマクロに関して言えば、対策テキストも京大に特化したものがあった方が間違いなく良いです。
ソローモデルの時間変化について、たとえ編入予備校の過去問開設を見ても、独学で対策をするのはかなりしんどいと思います。
受験体験記・講評
特に役に立たないと思うので、需要があればいつか書きます。
読みたい人はDMなり質問箱なり投げてください。
得点開示
神戸大学
数学wwww30wwww経済wwwww44wwwww
もう何も言いません。
京都大学
1問はミクロ、2問はマクロです。
合理的期待形成・ソローモデルでやらかしてたんでしょうねって感じの成績です。
まぁワンチャンこの2つができてても落ちてたかもしれませんね。
一緒に合格最低点も書いてくれないかな。
おわりに
まぁこんな感じでした。イキってた割に散々なスコアですね。
おかげで編入浪人して名古屋の情報に受かったのでまぁ耐えました。
むしろ落ちたおかげで情報学部編入ができたと考えれば、落ちたのことも合格の過程の1ピースであったと言えると無理矢理納得させることもできますね。
参考になるのかならないのかよくわかりませんが、これだけやればこの程度という水準を示せたのでよかったのかなと思います。
独学とは言え結構お金かかってるのでつぎ込んだお金はさっさと回収したいですね。
まぁここらで。