誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性
こんにちは!鳥貴士です!
今回は「誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性 -Eveybody Lies-」を紹介したいと思います!
「Everybody Lies」ではGoogleの収集した検索ワードの巨大なデータを用いて、社会の真の姿を暴き出していきます。
また、差別・性的嗜好などのきわどいテーマについても、ビッグデータを駆使して真実や実態を痛烈に指摘しています。
データサイエンスの威力と奥深さを感じられる一冊です!
ちなみに今年読んだ本の中で一番面白い本でした!
章立て
序章 いま起きているビッグデータ革命
第1章 直感は裏切り者
第2章 夢判断は正しいか
第3章 驚くべき新データの世界
第4章 秘められた検索
第5章 絞り込みという強力な手法
第6章 世界中が実験室
第7章 できること、できないこと
第8章 やってはいけないこと
結びに ここまで読み通して来た人は何人?
なぜおすすめなのか?
「Everybody Lies」のテーマは、ビッグデータという新しい道具で社会を分析することです。
本書では特に、差別や性的嗜好・中絶・政治などのタブーとされがちなテーマを中心に扱っているので、従来のデータ分析の本とは一線を画す、キレのある面白さがあります。
したがって
- データサイエンスとビッグデータを用いると、どんな事実を導くことができるのかがわかる
- タブーとされがちなテーマについて、誤魔化しのない本質を突いた情報が得られる
- データを基に、世間で語られるストーリーとは全く異なるような生臭い真実が語られる
- ビッグデータ分析という先進的な分野の本なので、いままでは知ることもできなかった見識が得られる
という点が主なおすすめポイントです。
おそらくこれらの知識を披歴した場合、大多数の人から顰蹙を買うので要注意です笑
どんな人におすすめなのか
本書はビッグデータ分析という先進的な分野からの知的好奇心を十二分に刺激してくれる本なので
- 人間や社会の本質に興味がある人
- 統計学・データサイエンスに興味がある人
に特におすすめしたいですね!
人間や社会の本質に興味がある人
従来のデータ分析手法でも、人間や社会の本質に迫ることは可能でした。
しかしビッグデータを分析することによって、従来のデータセットではなしえなかった分析を行うことが可能になりました。
それは人間の行動を理解する切り口が増えたことを意味しており、新しいデータセットを分析することで興味深い新事実を暴くことが可能になったということです。
「Everybody Lies」では
- Pornhubで男性の検索するキーワードの意外な顔ぶれ
- 選挙と差別語の検索回数
- 貧困と成功
- 人々が抱える性器への悩み
- 児童虐待や中絶に対する政策の効果
- アメリカは機会均等の国なのか
- 有名校に合格した人と僅差で落ちた人の運命
などなど、今の社会が覆い隠している、目をそらしている、あるいはよく見えていない数多くの本質をエビデンスベースで暴きます。
人はアンケートには正直に答えずに、検索ボックスに本音を吐きます。
たとえば米国では「天気」よりも「ポルノ」の検索の方が多い(この事実は、世論調査では男性の25%、女性の8%しかポルノ鑑賞を認めていないことと整合しない)。
誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性 p129 著者:セス・スティーブンズ=ダヴィドウィッツ 出版社:光文社
このように、人々が知りたいことは社会調査のデータではなく、検索ボックスのデータに集約されているのです。
その理由は、Googleの検索ボックスには本音を吐かせる動機付けがあり、社会調査ではそれを認める動機付けがないからです。
したがって、検索ボックスのデータを分析することは、人々の本音を分析することに等しいのです。
そして「Everybody Lies」では、こうして集められた本音を科学的に分析しています。
本音を分析することで得られる結論、人間の社会や本質に興味があるあなたなら気になりますよね?笑
統計学・データサイエンスに興味がある人
「Everybody Lies」はデータサイエンスを駆使して興味深い事実を導き出すという点から、統計学やデータサイエンスに興味がある人におすすめです。
いまの統計学の教科書では、まず問いがあって、そして従来型のデータセットを用いて特定するというプロセスを踏んでいます。
確かにそれはそれで面白いですよね。
では逆に、もし巨大なデータセットがあって、問いを立てるという順番だった時にあなたはどのような問いを設定しますか?
本書では、まず本音を集めたデータとしては世界最大であるGoogleで検索された言葉があって、その中で何をどう分析するかという問いに著者なりの解を示しています。
「Evetybody Lies」では、統計学やデータサイエンスを学んだその先に、一体何があるのか、何ができるようになるのかを斬新な切り口とデータセットで語ります。
統計学を極め、巨大なデータセットがあったら何がわかるのか。
統計学やデータサイエンスに興味があるなら間違いなく楽しく読める、そんな一冊だと思います!
そして「Everybody Lies」は意外なことに経済学部の学生にもおすすめできます!
というのも著者のセス・スティーブンズ=ダヴィドウィッツ氏はハーバード大学で経済学のPh.Dを取得しているからです。
とりあえず経済学部に入った。
だけど結局何ができるのかもよくわからないし、そこまで面白くないなーと感じている人も少なからずいると思います。
ただ実は、この「Everybody Lies」で用いられている手法は実証分析の手法であり、その実証分析には計量経済学というツールが用いられます。
実証分析とは、社会や人にまつわる定量的なデータを分析して、定性的な真実を明らかにする学問であり、そしてそのベースには経済学があるのです。
もっとも、これまでの実証分析は、従来型のデータセットを分析するものでした。
しかしビッグデータを分析することで、従来型のデータではわからなかった事実を引き出すことが可能になっています。
つまりその問いを立てるために必要な知識とは、計量経済学をはじめとした、経済学の知識なのです。
なんで経済学を勉強するのかわからない、経済学で何ができるのかわからない。
そんな疑問に対する答えの一つが「Everybody Lies」にあるのです!